チューリッヒの生活費
チューリッヒへの移住で実際にかかる住居費、健康保険料、保育費、日常生活費をまとめました。
チューリッヒの生活費は、移住を検討するほぼすべての駐在員、人事担当者、経営層が真っ先に気にする点です。というのも、この都市はヨーロッパの中でも常に生活コストが高い部類に入るからです。家賃、加入義務のある健康保険、そして保育費は、多くの人が母国とは仕組みが大きく異なるために最も驚かされる3項目です。
このページでは、チューリッヒに到着してから予算がどこに消えていくのかを、鍵を受け取る前に支払う敷金から、健康状態にかかわらず毎月納める保険料まで順を追って説明します。あわせて、独身者、カップル、家族それぞれにとって無理のない移住を可能にする給与水準の目安や、コツを押さえれば節約できるポイントについても取り上げます。
チューリッヒの住居事情と家賃相場
家賃はチューリッヒの家計において、ほぼ常に最大の支出項目であり、地区、物件の築年数、家具付きかどうかによって大きく変動します。中心部や湖畔エリアは、郊外の地区や州内の周辺自治体に比べて明確に割高になるため、トラムで数駅分でも検索範囲を広げると実際にかなりの違いが出てきます。
スイスの賃貸慣行には、多くの新規入居者にとって馴染みのない費用が伴います。家賃最大3か月分に相当する敷金をブロック口座(本人名義の凍結口座)に預ける必要があるほか、場合によっては仲介手数料もかかります。また、正式な入居申込書類には、収入証明、滞在許可証のコピー(または申請中であることの確認書類)、そして債務整理登録簿抄本(Betreibungsauskunft)の提出が求められるのが一般的です。光熱費や共益費(Nebenkosten)は基本家賃とは別に請求されることが多いため、物件を比較する際は必ず総額を確認してください。
- 共益費を含まない家賃(Nettomiete)と共益費込みの家賃(Bruttomiete)は物件広告ごとに表示方法が異なる
- 家賃最大3か月分の敷金を、本人名義のブロック口座に預ける
- Nebenkosten(暖房、水道、建物の維持管理費)は毎月請求されるか、年1回で精算される
- 家具付きの短期滞在用フラットは、家具なしの通常賃貸より月額が大幅に高い
- 一般的な契約開始時期の数週間前は内見の需要が最も高まるため、早めに候補を絞り込むことが重要
時間的制約の中で法令を遵守した好立地の物件を見つけることは、まさに当社の住居探しコンサルタントが最も力を発揮する分野です。書類が完備された申込みに素早く対応する建物や仲介会社を熟知しています。
事前評価を依頼する健康保険と医療費
スイスでは、新規入国者を含むすべての居住者に対し、登録後の短い期間内に基礎健康保険(assurance de base)への加入を義務付けています。保険料は給与から天引きされるのではなく、個人が直接支払います。保険料は保険会社、州、年齢層、そして選択する自己負担額(フランシャイズ)によって異なるため、同じ建物に住む2人でも、選んだプランによって支払額がかなり違ってくることがあります。
月々の保険料に加えて、実際に受診した際にも自己負担額と自己負担割合を年間上限に達するまで負担する仕組みになっており、これが定期健診以外の医療費の予算立てに影響します。保険会社と自己負担額の選択は実際の財政負担に直結し、個々の事情にも左右されるため、当社のコンサルタントは特定の保険会社を勧めるのではなく、資格を持つ専門家と連携して対応しています。
- 基礎保険(LAMal/KVG)はすべての居住者、大人にも子どもにも加入が義務付けられている
- 保険料は本人に毎月直接請求され、保険会社と選択した自己負担額によって異なる
- 自己負担額を高く設定すると月々の保険料は下がるが、保険適用前に自己負担する額は増える
- 個室利用や歯科、代替医療などをカバーする補足保険は任意で、別料金で設定されている
食費・交通費・日常の生活費
チューリッヒの日常的な物価はスイスの賃金水準を反映しており、食料品、外食、各種サービスもそれに見合った価格設定になっていますが、その分、品質や消費者保護の水準は高い傾向にあります。多くの家庭では、日用品はディスカウントチェーンで購入し、専門店やオーガニック食品店は特別な買い物の際にのみ利用することで、月々の食費をかなり抑えています。
公共交通機関は市内および州全域で網羅性が高く信頼性も高いため、年間で見ると公共交通機関の定期券(Abonnement)は車を維持するよりも安く済むことが多く、これは駐車場が限られており中心部では住民専用となっている場合が多いことも一因です。移住前は車が手放せない生活を送っていた駐在員の多くも、トラムやSバーンの沿線に落ち着いてからは車が全く不要になったと感じています。
保育・学校関連の費用
チューリッヒの保育、保育園(Kita)であれ登録済みの保育ママであれ、家計の中で大きな割合を占める項目であり、中心部の地区では常に需要が供給を上回っているため、子どもが生まれる前から順番待ちリストに載せておくことも珍しくありません。補助金対象の保育施設では料金が世帯収入に応じたスライド制で計算されるのが一般的である一方、民間の保育園はかなり高額になり得る日額または月額の定額料金を設定しています。
インターナショナルスクールや私立学校を選ぶ家庭は、別途高額な年間費用に直面します。一方、スイスドイツ語と標準ドイツ語で教育が行われる公立学校は無償ですが、一定水準の言語力が求められ、新たに移住してきた子どもの多くは最初の1年間かけてその力を身につけていきます。学校と保育の選択は家計全体に影響するため、居住地区を最終決定する前にこの項目をきちんと見積もっておく価値があります。
チューリッヒで無理なく暮らすために必要な給与水準
すべての世帯に当てはまる単一の数字というものは存在しません。ワンルームを借りる独身の専門職、2LDKをシェアするカップル、そして2人の子どもを保育園に通わせる4人家族とでは、月々の総支出が大きく異なるからです。重要なのは見出しの数字よりも、上記の各項目、共益費込みの家賃、世帯全員分の加入義務のある健康保険、交通費、食費、該当する場合は保育や学校の費用から、自分自身の予算を組み立てることです。
全体的な傾向として、チューリッヒへの移住世帯は、変動が最も大きく予測しにくい2つの費用項目である住居費と保育費について、概算ではなく実際の見積もりを固めることで、予算をより組み立てやすくなる傾向があります。国際赴任を管理する企業の人事部門は、まさにこうした理由から生活費調整をオファーに組み込むことが多く、目標とする給与を一般的な指標と比べるよりも、詳細な個人予算と照らし合わせるほうが信頼できます。